斑点 | zenピクチャーズ　禅

【くくりさん】「何が分かるって言うのよ！あんなのって…あんなのって…」久しぶりに再会した親友同士の明美と涼子。マンションに住む人妻の涼子は不審な自殺が多発していることを明美に話す。その異常な光景は涼子から健常な精神を奪い去るほどだった。　　【三人囃子】「…………………………………………！！！！！！」寝支度を整え、床に就く一人の男。一日の疲れをじっくりと癒すように深い寝息を立てているが、その男の周りでは想像もつかないような奇怪な者達が集まり始めていた…。　　【だんらん】「ええ。よく似てるって言われます。…似てませんでしたか？」バイトに向かう矢先、志村は隣に引っ越してきたというミステリアスな女性に声を掛けられる。妹と二人暮らしだという彼女。志村は次第に心惹かれ、彼女の家を訪ねるが…。　　【線引き】「82センチ。124センチ。5センチ。1センチ。」以前起きた謎の一家失踪事件。とある男はその真相をついに突き止めようとしていた。友人の佐藤はその答えを確かめるため、彼の家に向かう。だが、そこには…。　　 _____________________________ 虚構か現実か？じんわりと染み出る斑点のように不可思議な映像が浮かんでは消える。

「そんなことあるわけないじゃん」―そう言い切ってしまえば済んでしまうことなのかもしれない。傍から見れば滑稽に映るのかもしれない。しかし、そんな偏執的な認識をほんの少し取り払って、その対象に接してみると、それは瞬く間に目も当てられぬ恐怖へと変貌していくとは考えられないだろうか？凡百な”表層だけの怖さ”に囚われることなく、何の前触れもなく訪れる不安や気味の悪さ、抜けの悪い恐怖感と倦怠感…。そういった誰しもが抱える盲漠とした”ゆらぎ”を淡々と、しかし丁寧に描写することに腐心したのがこの「斑点」である。「こんなのホラーじゃねえよ！」と憤慨する人間もいるだろう。しかしそういった画一的な価値観や、ホラー映画フリークス達の”恐怖を感じる可能性の認識力”に正面から挑戦した、意義のある作品なのだ。「騙されたつもりで…」とは言わない。この作品は観た人間を確実に騙す。そういう作品である。